10月もそろそろ終わり。秋をすっ飛ばして冬の気配が感じられてしまう今日この頃、街はオレンジ色の装飾がたくさん見られます。そう、10月31日はハロウィンです。私はもとから「ハロウィン」という行事がふわっと好きなのですが、お寺に籍を置く以上この気持ちにはそっと蓋をしなければならないと思っていたのです。しかし・・・・・。
なんと西大寺観音さんでは「テラウィン」というお寺とハロウィンを合体させたイベントを去年から行っていたそうです。今年はお寺にジャックオランタンを飾り、仮装行列、BEERフェスタ(?)そしてお化け屋敷(その名も「テラウィンお化け屋敷 呪い人形堂」?!)すごい!!楽しいものをなんでも取り入れようという姿勢がとても好感がもてます。
一見ミスマッチに見える取り組みですが、仏教は色々な宗教を吸収することが得意です。もともと日本にあった神道ともいい関係を保っていますし(お寺の中に鳥居があったりしますよね)、有名どころでは七福神の弁財天や大黒天はもとはヒンズー教の神様です。また普賢菩薩や文殊菩薩は道教の仙人の出身だそうです。私が詳しくないだけで他にもいろいろ混ざっているはずです。
そもそも、もともとハロウィンという行事は古代ケルトの「サウィン祭」という収穫祭とお盆が混ざったような行事なのでキリスト教色はあまりありません。
ですので、子どもたちが仮装した可愛いハロウィンの魔女やゴーストなんかは余裕で仏さまがあたたかく受け止めてくれるのではないでしょうか。また、異文化を取り入れることでお寺離れが叫ばれている昨今、新しい層が仏教に興味を持ってくれる可能性もあります。だって伝播した先の文化や信仰を柔軟に抱きしめながら、発展し成長してきた仏教なのですから。
仏教では「邪鬼」という悪事を働く小鬼がいます。多く見られるのは仁王像の足物にいて踏んづけられている姿ですが、改心して(改心させられている途中かも)寺院の屋根を支えたり、灯篭を持って仏教の世界を照らしたり、線香台を支えたりしています。もしかすると日本にいるハロウィンの怪物たちも遠い未来には仏さまに帰依して、しれっと寺院のどこかで役割を与えられているかもしれません。
そんなことを踏まえて住職に当寺でもハロウィンを取り込めないかと打診してみましたが、黙って首を横に振られました。天台寺にジャックオランタンのランプが点灯するのは当分先になりそうです。

初めて西大寺さんに参拝してきました



